舞台『新サクラ大戦 the Stage ~誠伝 TSURUGI~』を観劇。
結論から言うと、今回の舞台は紛れもなく『新サクラ大戦』であり、それと同時に、旧作から続いてきた『サクラ大戦』オリジンシリーズの外伝でもあった。
本記事中の写真は撮影可能タイムにおける筆者の個人撮影によるものです

帝都以外の華撃団(呪術防御)というのは、私のような二次創作作家にとっては古くからの素材で、サクラ大戦2でも高村椿が北海道の支部に出張中という話が出てくる。
ただ、降魔は都市の怨念が元となっているので、大阪とかを舞台にする二次創作にすることが多かったのですが、舞台を呪術都市である京都として、降魔ではなくアイテム集めとすることで、その制限を突破しているのは、うまいやり方。
主役である藤堂あさぎ、藤堂家の設定は「そこつくか!」と膝をうつ。
裏御三家の設定で、藤堂家と隼人家、そして、それらが落ちぶれていることも、サクラ大戦1の設定資料集で触れられていました。劇中でもある藤枝が藤堂の支流である(藤堂の枝)ことも。
だから、あさぎが「破邪」の技を使うのも自然。
ボスである豪海が天海の師匠だったのは事実で、武蔵国川越の無量寿寺(現・川越大師・喜多院)でのこと。そこから、大和実験につなげるのは、地理的にも自然。
天海は反魂の術での復活でしたが、豪海は上級降魔ということに。
弟子として愛着はあったのでしょうが、立場が違うので、共闘はしなかった……とか?
いずれも、「そこを拾ってくるのか!」
と思うような設定や小ネタが次々に出てくる。
サクラ大戦マニアがプロットを作っているのではないかと思うくらいで(パンフによると、脚本家がサクラ大戦オリジンシリーズのプレイヤーであったらしい)、シリーズの細かな設定を掘るのが好きな人ほど楽しめる作品だと思う。
30周年作品としての演出も、とても良かった。
特に印象的だったのがOP。
序盤、ある程度の話がすすんだところで、新ゲキテイが流れるのは、アニメ、ゲームぽい演出。その最初に30周年ロゴが表示される流れは、神がかっていて、鳥肌がたった。
そして、背景のプロジェクションマッピングに、初代『サクラ大戦』から『新サクラ大戦』までのタイトルロゴが、フラッシュカットのように次々と入る瞬間がある。
ほんの一瞬なのだけれど、これが実にいい。
これまでのシリーズの歴史が一気に目の前を通り過ぎていくようで、感動してしまった。
「ああ、サクラ大戦だなあ」
と思わせてくれるOPだった。
今回の舞台は殺陣もかなり多い。
しかも、結構激しい。
単に刀を何度か合わせるというレベルではなく、かなり動き回る振り付けになっていて、よくこれを毎公演やっているなと感心する。
特にあさぎは、殺陣に加えて声を張るセリフも多い。かなり負荷が大きかったと思う。よく勤め上げたものだ。
役者の芝居についても、細かなところまでよく作られている。
個人的に好きなのが、舞台中央でメインの人物が掛け合いをしている時でも、その周囲にいる人物がちゃんと芝居を続けているところ。
中央で会話している人物だけを見ていると気づかないようなところでも、それぞれがちゃんと反応している。
たとえば、動揺しながら刀を構えているあさぎの刀がプルプル震えていたりする。
中央で「溜め」ている間、豪海は合掌して術を唱えていて、溜めが終わったところで術を放つ。
こういう細かな芝居が入っているので、舞台全体を見ていると新しい発見がある。
公演を重ねるにつれて役者の固さも取れてきて、芝居により感情が乗るようになっていたのも印象的だった。
舞台というものは、やはり公演を重ねる中で育っていくものなのだなと思う。
こういう変化を見るのも、複数回観劇する楽しみの一つだ。
プロジェクター投影もうまく使っていたな。
嵐山浪漫堂の襖の柄がパンダだったりする小ネタもあれば、喀血、そして、その血が変化するところや、や文字ネタなど非常に有効的な演出をしていた。
時代は進化しているなぁw
今回のキーアイテム「誠剣」は「聖剣」からの言葉遊びか?
サクラ大戦オリジンでも二剣二刀は言葉遊びだったし。
ちなみに、新サクラでは、さくらは帝剣・天宮國定、アーサーが神剣エクスカリバーをもっていますが、まあ、ここは重なりを避けたところでしょう。
ただ、降魔皇復活を目的としているので、そういう意味では帝剣と同じく次元を引き裂く力を得るのだろうか。
いずれにしても、そのように新サクラの物語をちゃんとおいつつ、新サクラをみりしらでもわかるように、うまく外伝化したと思う。
コメディがスパンと入ってくるのもサクラ大戦シリーズぽいんだよねぇ
ちなみに、聖剣戦争と聞いて、Fateを思い出したが、あれは聖杯戦争だったw むしろ、風魔の小次郎だったw
敵味方でいうと、藤堂は裏御三家を引きつつ、藤堂高虎の血筋を意識(父の名前が藤堂高龍)させつつ、新撰組の藤堂平助を引いたというところか(平助も藤堂高虎の一門という説がある)。土方はがね、沖田白姫はいわずとしれた鬼の副長、土方歳三と、病に冒されつつ戦う天才剣士、沖田総司が元ネタであることはいうまでもなく。
一方で、豪海側の原田峻岳は原田左之助、山南泉水は山南敬助が名前の元ネタであろうし、組織名が「狼士」なので、これも新撰組が元ネタと思われる(浪士組は新撰組の元の名称)。
だとすると、新撰組が敵味方に分かれているわけだが、(裏御三家から引いた藤堂は別として)土方、沖田は最後まで新撰組とともにあり、原田、山南は新撰組から離脱したという違いがあるので、ここで分かれているのか?
サクラということで、音楽にも触れておく。
今までの積み重ねのBGM、なんというかホーム感があって、サクラ世界に帰ってきた!感があって、やっぱりよい。音楽って、記憶と密接に結びつく。
何より、今回の新曲にしてテーマ曲「誠のツルギ」(マコツル)。さすがの田中公平先生。
特に冒頭と最後。メロディーをそのまま引用している、というほどではないと思うのだけれど、金管の鳴らし方やリズム、曲の始まり方と終わり方に、いかにも「サクラ大戦が始まるぞ」という感覚がある。
音楽については素人なので技術的にはよくわからないが、ゲキテイの旋律そのものを引用しているのではないと思うけど、確かなゲキテイぽさを感じた。ライトモチーフ的な?
一方で、ゲキテイが前へ前へと進む曲なのに対して、マコツルはもう少し剣劇的というか、構えて、踏み込んで、斬るような緩急がある。また、和風の作品だからといって、単純な和風ロックではなく、基本はブラスやストリングスを使った、サクラシリーズOPらしい舞台音楽で、その中に和の要素が入っている感じ。
だから初めて聴く曲なのに、ちゃんと「サクラ大戦の曲だ」と感じた。
間に入る「詩吟」は、今までの田中公平曲に増して凄まじい転調?で、なのに、曲全体にはなじんでいるのがすごい。舞台パートで、あさぎの詩吟という前振りがあったので、舞台全体にもなじんでいるのは、演出的にもすごい。
30周年という今回の舞台を考えると、今までのサクラシリーズのOP曲を踏まえつつ生み出された新しい主題歌になった――と、素人耳ながら感じた。
そして、最後の、すみれさんのナレーション。
「また大帝国劇場で~」という台詞には、ちょっとうるっときてしまった。
というわけで、以下、各キャラごとに。
・藤堂あさぎ
すでに「嵐山いろは組」というのがあって、そこの隊長であり剣術兵器と呼ばれる人間味のない凄腕剣豪である、あさぎとギスギスするとこからスタートかと思ったら、全然違ったw
あさぎのキャラも、あんなに愉快とは思わなかった。いい意味で期待を裏切られた。
能力が覚醒したのは、豪海により魔の力を注ぎ込まれたからなのか?
このあたりは今後もキーになりそう。

・土方はがね
あの毒舌は、鬼の副長のイメージからか?
役の時と、地声の落差がカーテンコールで明らかになり、客席がざわめくw
過去回想はあったものの、まだ、キャラの掘り下げができそう。
誠剣を重そうに扱う演技をさりげなく、かつ、丁寧にやられていたのが印象的でした。

・沖田白姫
沖田総司のイメージで病弱?(呪いだけど)
殺陣の時に、着物の袖(袂)を綺麗にさばくのが見事だった。
剣技は抜群ながら、あと一回でも傷をうけたらアウトという弱点をつくってるので、戦闘シーンで緊張感があってよい。
すみれさんとの掛け合いを見てみたいなーw

・ハ・ズーイン
英語表記では「HE ZIYING」らしいので、漢字をあてると何 紫英だろうか? パーソナルカラーが紫だし。
そして、上海華撃団の新設定、表の姿は上海雑技団だった!w
あと、五神龍の一人、ということで、これは上海版の「花組」ということでよいのかな?
だとすると、他の華撃団にも呼び方があるってことだよなー。知りたいw
と、閑話休題。
豪海の反応が、過去に共闘していた本人であることを認めていたので、本当に長生きということになる。豪海は上級降魔だし、天海は蘇りだったわけで、じゃあ、ズーインは……うーん、降魔人間だということになるのかな。
このあたりも今後に期待したい。
癖のある台詞のしゃべり方ながら、説明役としてはわかりやすく聞こえるのは、ご本人の発声のよさか。

・沢田ジュリ
彼女は、名前で月組隊員としてネタバレしていたんですよねw
なぜなら、ゲームで登場した月組メンバーは、みんな名前は芸能人が元ネタなんですよね。
加山雄一=加山雄三
西城いつき=西城秀樹
本郷ひろみ=郷ひろみ
なので、
沢田ジュリ=沢田研二(愛称・ジュリー)
だったわけなので。
台詞中、時々、沢田研二のネタが入っていますねw
「勝手にしやがれ」「憎みきれないろくでなし」とかw
でも、これって、50代以上でないとわからんと思うのだけどw
発声とか台詞廻しとかが、一番、アニメキャラぽいと思いました。
ただ、すごくはっきりとした発声だったので、聞きやすかたです。

・天宮さくら
「前作主人公」的な立場。
新サクラ大戦全体と、今回の舞台をブリッジする存在でもある。
いろは組の成立前からやるとは思っていなかったのですが、あさぎを導き、いろは組への道筋をつけるという意味では、従来のサクラシリーズでいうと、隊長役と一部総司令官役を兼ねる感じがあった。
唯一の続投とあって、キャラ的にはこなれているのだが、よりおちついた雰囲気を出していて、そういう意味でもキャラとして成長を感じさせる演技ができていたのではないか。途中の消息不明も格をおとさず、いろは組を引き上げるためにいいシナリオだった。
もちろん、神山との電話などで少女らしさを出し、バランスもとれいていたと思う。

・志ずか
・志おり
登場シーンは限定的ながら、プロジェクターを有効活用した文字ネタで印象が強くなる。あの演出を考えた人、偉いな!
初日は前説でうまく時間調節できなかったりしてましたが、このあたりも舞台がすすむと改善されたのが、舞台だなー、って感じがしましたw
毎日、ネタを考えているっていう話に、三分間ショッピングを思い出しましたw
・豪海
設定的なキャラの話は前述したので。
全てのシーン(ライブパートやカーテンコールも含めて)でキャラを崩さず振る舞うのは素晴らしい。
威厳たっぷりのふるまいは、ボスキャラとして、まさにふさわしい。
退場時も威厳をたもったままという感じで、今後もみたい。
・原田峻岳
今回、唯一の槍使い(一応、誠剣だけど)。殺陣も難しいと思うのだが、軽々しく扱う姿はお見事! お腹出してるし!(関係ない)
死鬼神なのに、正々堂々?
好感度高い系悪役なんですかねw
・山南泉水
紅のミロクをちょっと思い出したw
原田も含めて、上級降魔ではなく、豪海に魔の力を注入された上級狼士みたいなもの?
だとすると、あさぎや白姫の行く末も気になるが……
ともあれ、抜け目ないというかお茶目な感じが、意外に好きw
敵役でありながら、それを表現する役者さんもお見事だ。
以下、結びに。
今回の舞台は、単に『新サクラ大戦』のキャラクターを使って新しい話を作りました、という作品ではない。
旧シリーズから続いてきた世界の中に『新サクラ大戦』をきちんと置き、その間にある歴史や設定まで掘り起こそうとしている作品だと思う。
だからこそ、新サクラ大戦から入った人はもちろんだけれど、旧シリーズの設定を細かく覚えている人ほど、
「なるほど、そこにつなげるのか」
「その設定を今使うのか」
という楽しみ方ができる。
30周年という節目に、こういう作品を出してきてくれたのは素直に嬉しい。
物語そのものも、今回だけですべてを終わらせるというより、まだ先に続けられる余地をかなり残しているように思う。
多分、構想としては三部作くらいなのでは?
ぜひ続編を作って、最後まで完結させてほしい。
PS
最後の最後にちょっとだけ……新サクラ本編のプロットへのアンチテーゼが入っていたシナリオだったようにも感じた……


コメント
読ませていただきました。
サクラ大戦の世界から地続きに感じられるような設定の敷き詰め方がなされてたなぁ……としみじみ思います。
今作が新サクラ大戦へのアンチテーゼになっているとも言えるかもしれませんが、個人的には今作も含めて新サクラ大戦を振り返ると「登場人物の退場→復活」というお約束を作ることで、安心させたいのかなと思いました。
まだ終わりじゃない、むしろここからだ。
そんな気持ちが伝わってくるようでありました。
コメント、ありがとうございます。
私も作り手側の強い情熱を感じました。
とりあえず、ライブ形式も発表されましたし、今後もサクラの流れが続いていくことを、私も祈ってます!