Act5-8
「隊長達が到着するまでに雑魚を掃討するわよ!」
その頃、泉岳寺ではすでに戦いがはじまっていた。
「さくら、道を!」
「はい!」
さくらが早くも必殺技を放つ。
「破邪剣聖、百花繚乱!」
たちまち一筋の道が開く。
そして、そのさくら機を筆頭に全機がそこに突入していった。
「ほう? やはり大神がいなくては、その程度のものか?」
魔霊甲冑「赤穢」に乗り組む『地の陽炎』は低い声でつぶやいた。
いくらその直線は掃討できたとしてもすべての黄泉兵が掃討されたわけではないのだ。“道”に突入したマリア達を黄泉兵が包み込むように囲んでいく。
「マリア! 前も後ろも完全に塞がれちまったぜ」
「慌てないで、カンナ」
だが、マリアはおちついている。
「すみれ。頼むわよ」
「任せておきなさい」
今度はすみれが必殺技の態勢に入った。
「神崎風塵流・鳳凰の舞!」
神武めがげて黄泉兵が密集したところだ。これ以上の効率はないという感じで、黄泉兵が炎に包まれていく。
「やりましたわ」
だが、その攻撃による砂塵の中に、黄泉兵ではありえない影が突然、あらわれた。
「なんですって!?」
砂塵の中から伸びてきた鋼鉄の手がすみれ機を捉える。
突然の攻撃にたまらずすみれ機は吹き飛ばされるが、それでも踏みとどまった。
「油断は大敵だぞ。帝國華撃團の諸君!」
それは「赤穢」の姿だった。
「私は例え雑魚でも戦力として大事に扱うのだよ」
今までの相手は(ミロクの紅蜂隊のような例外はあったが)雑魚は雑魚、自分は自分として戦ってきていた。しかし、まとまって攻撃される方がやっかいなことはいうまでもない。
「すみれ! 大丈夫?」
「当たり前ですわ。これしきの攻撃、蚊に刺されたほどにも感じませんことよ」
といいながらも、すみれは回復を行なっている。かなり効いているようだ。
「くそ、こいつらよってたかって!」
カンナも苦戦している。雑魚が数でかかってきて自由度を減じたところに魔霊甲冑による攻撃をしてくるのだ。
「敵も集団戦術を使うとは……軍人の大敵は先入観であるとは、よくいったものだ」
自嘲気味につぶやきながらもマリアは指揮を続ける。
表面的には未だ帝撃は優勢であり、倒れていくのは黄泉兵ばかりだ。しかし、神武にも損害は確実に蓄積している。ある一点を超えた段階で、急速に戦力均衡が崩れ、帝撃側が瓦解するだろう。
「あっ!」
マリア機が黄泉兵にとりつかれた。必死にふりほどこうとするが、元々、近接戦闘に弱いマリア機のこと、うまくいかない。
「マリアさん!」
さくらが助けにいこうとするが、黄泉兵に阻まれる。他のメンバーも同様に動きがとれない。
「まず一機目だ」
『赤穢』がマリアに迫る。
「いくぞ。『石龍轟烈火』!」
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