Act3-9

「帝國華撃團、参上!」 
 翔鯨丸で急行した靖国神社には、黄泉兵があふれかえっていた。
「来ましたね」
 境内の奥には「水の荒波」の姿がある。
「さあ、いつでもいらっしゃい!」
 靖国神社の境内は鳥居から社殿まで一直線。幅50米、長さは数百米もあろうというものだ。
『大神!』
 米田からの通信が入る。
『靖国を汚すやつを許すんじゃねぇぞ!』
 靖国神社は明冶12年に成立した新しい神社だ。だが、まつられているのは、幕末以来の国家に殉じた英霊であるという点が特異である。つまり、米田が日清・日露戦争などで共に戦った戦友達もここにまつられているのだ。そこを攻撃されることは戦友に対する冒涜だ。何物にも変えがたい苦痛だ。
 もちろん、帝國海軍軍人である大神にとっても、偉大なる先達がまつられている地である。
「わかってます、長官!」
 だが、敵の数は半端ではない。境内に隙間が見当たらないほどだ。まともにいっては、包み込まれて消耗してしまうだろう。
「さくらくん。敵までの路をつくってくれ!」
「わかりました!」
 さくら機が一歩、前に出る。
「破邪剣征・百花繚乱!」
 炎の帯が、黄泉兵を一気に掃討する。荒波まで一直線の路ができあがった。
「カンナ、ついてこい。突撃だ!」
「了解!」
「他のメンバーは後方から黄泉兵を制圧!」
「了解!」
 だが、マリアが大神へ通信をおくってきた。
「隊長。カンナで大丈夫ですか?」
 さすがにマリアはよく見ている。しかし、それでも全てを見通しているわけではない。
「大丈夫だ。今のカンナならな」
 大神は断言する、
「いくぞ! 高速機動装置、発動!」
 神武がやや前屈みになると同時に、足元から砂煙があがる。そして、滑るように神武は移動を開始し、みるみる速度をあげていく。
 これは、神武の足に装備された無限軌道と車輪を使って移動するやり方なのだ。これを行うと、(平地という制限はつくが)通常よりも高速で移動することができる。しかし、その分、エネルギーの消耗は激しく、作戦行動時間は短くなるという欠点ももっていた。
「チェスト!」
「とりゃぁ!」
 路を塞ぐべく、左右から黄泉兵が迫り出してくる。しかし、大神もカンナも速度を落とさぬまま、それを攻撃していく。ひるんだところを突破していくので、とどめはさせないが、それは後方のさくら達の仕事だ。
「隊長、突出しすぎです!」
 マリアが叫ぶ。大神とカンナの前衛二機と後方部隊との間が開き過ぎている。大神達の進撃速度についていけていないのだ。
 後方支援を失った大神とカンナは敵を撃破しきれず、取り囲まれていく、
「なめるなよ、雑魚が!」
 カンナ機が大神機に隣接する。
「いくぜ、隊長!」
「よし!」
 両者の機体の腕部に霊力が集中していく。
「質実剛健」
「天衣無縫」
「百戦百勝」
「電光石火」
「いくぜ! 久流々破!!」
 囲みにきていた黄泉兵達が一気に掃討された。
 ノッっているカンナの攻撃力は明らかに増大している。
「さあ、覚悟しやがれ!」
 荒波の魔霊甲胄「青穢」に隣接する。
「なるほど。前よりもやるようですわね。でも、同じ結果となるのよ!」
 荒波が妖力を集中させる。
「爆波征天昂!」
 その攻撃力は相変わらず凄まじい。
 だが、カンナは前回とは違う。
「この程度か!」
「なにぃ!?」
 耐えきったカンナは、素早く攻撃を叩き込んでいく。
「チェストォォォォォ!」
 左右の正拳から右上段回蹴のコンビネーションが奇麗に決まった。「青穢」が大きくゆらぐ。
「狼虎滅却、無双天威!」
 大神もすかさず追撃を入れる。
「くぉぉぉぉぉぉぉ! 生意気なぁぁぁ!」
 荒波も反撃を返してくるが、焦りからか効果は薄い。
「これで決めるぜ。四方攻相君!」
 渾身の一撃が炸裂した。
「ば、馬鹿な。人間ごときにぃぃぃぃいぃ!」
 「青穢」は四方に光を放ったかと思うと、次の瞬間に四散する。
 残っていた黄泉兵達もボスを失ったことに気付き、姿を消していった。
「いくぜ、みんな!」
 カンナが勢いよく音頭をとる。
「勝利のポーズ、決めっ!」

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