Act3-10

「みんな、心配かけてすまなかったな」
 カンナは照れ臭そうに頭をかいた。
「ふん。大体、おしとやか、なんてカンナには似合わないのよ」
「ちぇっ。悪かったな」
 意外に素直だ。
 大神の言葉で。すっかり本来の自分に対する自身を取り戻したようである。
「ところで、隊長。一つ聞いていいかい?」
「なんだい?」
「隊長はさ、あたいのこと女だと、あんまり思ってねぇだろう?」
「いや、その、そんなことはないよ」
 見透かされて大神は焦る。
「じゃあよ。あたいのどこに“女”を感じるんだい?」
「え、それはその……」
 思わず、カンナの立派な胸に目がいってしまう。
「お兄ちゃん、どこ見てるのぉ!」
「え、いや、ええと……」
 しどろもどろになるが、カンナの反応はさっぱりしたもんだ。
「なんでぇ。ちゃんと女だと思ってくれるなら、何でもうれしいぜ」
 カンナはおもむろに大神を抱き寄せると、その顔を自分の胸にうずめさせた。
 それに血相を変えたのはさくらとすみれだ。
「カ、カ、カ、カ、カ、カ、カ、カンナさん!?」
「ちょっと、そこのバカ女! なんて破廉恥なことをしてるんですの!」
 すみれとさくらは大神を引っ張って無理矢理ひきはがす。
「なんでぇ。隊長にあたいも女なんだぞ、ってアピールしてたのによ」
 ここまでカラッとしていると、いっそ清々しい。
「あなたね。そんなことしたら中尉の顔が腐りますわ!」
「あんだと、もう一度言ってみろ。この出戻り!」
「なんですってぇ!」
 すみれとの喧嘩もいつも通り。
(どうやら、もう心配はなさそうだ)
 二人を見ながら大神は思う。
(それにしても……びっくりしたな、カンナの行動には。ちょっと、いい思いをできたけども)
 ちょっとどころではないぞ、大神!

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