Act3-6

「大神さん、きてください!」
 帰還し、米田への報告を終えた大神を、さくらが引っ張っていく。
「おいおい。どうしたんだい、さくらくん」
 疲れてるのに、勘弁してくれとでもいいたげな大神だが、さくらはおかまいなしだ。
「いから、はやく来てください! カンナさんの様子が変なんんです!」
「カンナが!?」
 よく話を聞くと、カンナは帰還後、すぐに自室に戻ったきり出てこないらしい。
「あ、隊長」
 行けば、カンナの部屋の前にみんな集まっている。
「マリア。どうなってるんだい?」
「わかりません。塞ぎ込んでるとは思ったんですが、話し掛けても全然、返事がないんです」
「前にこんなことはあったのかい?」
「いえ。こんなカンナは見たことありません」
 マリアとカンナは帝撃でも最も付き合いが長い。だが、そのマリアでもわからないという。
「撤退したことがそんなにショックだったのかな?」
「まさか!」
 そう言ったのはすみれだ。
「そーんなか細い神経してるわけないじゃありませんか。せいぜい、ヤケ食いするのが関の山ですわ」
 口は悪いが、その通りだ。さすがにカンナのことをよく見ている。
「うーん……とにかく、話を聞かないと」
 大神はドアをノックする。
「カンナ、開けてくれ。大神だ!」
「……隊長か」
 ようやくカンナから返事があった。
「カンナ。何があったんだ。話を聞かせてくれよ」
「ごめん。一人に……してくれないか」
 返答しただけ、ましとはいえるが、それでもカンナは心を開かない。
「……とりあえず、時間をおこう」
 大神の言葉に従い、みんな解散する。大神自身も部屋に戻る。
「とりあえず、明日の朝だな」

 翌朝。
 大神は手早く朝の支度をすますと、カンナの部屋へ向かった。
「カンナ。起きたかい? 大神だけど」
「はい。今、あけますよ」
 ドアが開く。
「カン……ナ!?」
 カンナの姿を見た大神は呆気にとられた。なぜなら、彼女はアイリスが着ているような、フリル一杯の服とスカートを身に着けていたからである。
「ど、ど、ど、ど、」
 どーしたんだい? と問いたくても言葉がでない。
「あ、大神中尉。どうかなされました?」
 大神は口をパクパクさせるばかりだ。
「変な中尉ですわね。それでは、お先に食堂へいかせていただきますわ」
 朝食のために食堂におりたカンナを見て、他の面々も呆気にとられた。さらに驚くべきことに、御飯を一杯しか食べなかったのである。
「カ、カンナさん。あなた熱でもあるんでなくて? 似合わないことはするものではありませんわよ!」
 動揺しながらも、すみれが精一杯の嫌みを言う。
「いえ、すみれさん。私、心を入れ替えましたの。これからは淑女として振る舞いますので、よろしゅうおたの申します」
 およそ、普段のカンナからかけ離れた振る舞いにさすがのすみれも二の句がつげない。
「それでは、みなさま。ごきげんよう」
 他の隊員も、あのマリアでさえも、ただ、カンナを見送るしかなかった。
 そこに入れ違いで、大神が降りてくる。
「大神さん! カンナさん、見ました!」
「ああ。見た」
 さくらの問いに応えるも、まだ放心気味だ。
「大神はん。カンナはん、頭でもうったのとちゃうか?」
「まさか。そんなことじゃないと思うけど……」
 とはいっても、自信なさげだ。
「隊長。カンナをどうしますか?」
 マリアが決断を迫る。
 いずれにしても、どうするかの結論はすぐにも下さなくてはならない。
「しばらく様子を見よう。原因がわからにから、どうにもならない」
「わかりました」

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