Act2-6
「どうする隊長?」
戦場に残ったのは比較的防御力の高いカンナと大神だけだ。
「蒸気スタンドへ血路を開くんだ!」
とりあえず、損害を回復しなくてはならない。
だが、その最短経路は当然のように黄泉兵に塞がれている。
「くそ、いけるのか?」
そこに、文字どおりの助け船が入る。
「大神さん!」
「かすみくん!」
神武内の画像通信機に戦闘服姿のかすみが映った。
「翔鯨丸で砲撃します! 距離をおいて下さい!」
「わかった!」
あやめはカンナに翔鯨丸の操縦を教えたが、彼女が神武にのってしまうと操縦者不在となってしまう。そこで、「ミカサ」での経験があるかすみに白羽の矢がたったのである。
「かすみさん! 退避完了、頼みます!」
「了解!」
翔鯨丸が黄泉兵を砲撃する。
地形が変わらんばかりの連続砲撃で、ようやく黄泉兵は弱ったように見える。
「よし、いくぞ!」
乱れた黄泉兵の隊列を突き、まずは蒸気スタンドへと移動し、回復する。そして、改めて黄泉兵へ向かう。
「チェストォ!」
「とりゃぁ!」
それでも、黄泉兵は粘る。
「カンナ! 徹底した一撃離脱だ。俺の後に続いてくれ!」
大神とカンナは機動力を生かし、二機一組であたっていく。一匹を倒せば距離をとり、気を練り直し、再び突入していく。
時間はかかり、体力は消耗するが、これより手はない。
「これで最後だぁ!」
大神の双刀が、ようやく最後の黄泉兵を切り裂いた。
「ぜぇぜぇぜぇぜぇ……」
「はぁはぁはぁはぁ……」
大神もカンナも肩で息をしている。体力を消耗しきる直前の、ギリギリのところであった。
「いいざまね、華撃團!」
ミロクは心底、愉快そうに笑う。
「ここで片付けてあげてもいいんだけど、あいにく用事を終えたら早く帰らねばならないからねぇ。ま、この調子ならいつだって、貴方達を倒せそうだしね」
高笑いを残しながら、ミロクは去る。
それを追う余力など、華撃團の誰にも残っていなかった。
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