愛の戦士たち(第10話) 作・島崎鉄馬 |
第拾話「小さな戦士」
冥界神風隊のアジトに突入し、さくらと鉄馬が意識を失って3日経った。ようやく、2人は意識を取り戻した。
既にポットから医務室のベッドに移されていた。
「・・・あれ?・・・・ここは・・・・」
鉄馬はなぜ自分が医務室にいるのかわからないようだ。
「覚えてないのか?さくらくんと一緒にハーデスに捕まって、意識を失ってたろ?」
「ああ・・・・そうだっけ。」
意識は取り戻したものの、まだボーっとしている。
「さくらくん、どうだい調子は?」
さくらはひどく疲れた顔をしている。
「ええ・・なんだかすごく体が重いんです。」
無理も無い。ほとんどの霊力を一気に放出してしまったのだから。
「とにかく、しばらく戦闘は無理だ。ゆっくり休むといいよ。」
「はい、そうします。」
さくらは笑顔を見せているが、鉄馬はきつい顔をして左腕をさすっている。
「・・・どうした、鉄馬?左腕が痛むのか?」
「ん?・・・いや、別に。」
平静を装ってはいるが、何かを隠しているような雰囲気だ。
それはさくらとかえで、米田しか知らない秘密。
以前さくらが米田に鉄馬が正体を隠した理由を米田に聞いた時、米田は答えなかったが、さくらにこう言った。
『知らない方がいい。お前もあいつも傷つくだけだ。』
その言葉の意味をようやく理解できたのだ。
「だあぁっ!こんな所で寝てられるか!ちょっと散歩してくる。」
じっとしていることの嫌いな鉄馬は常に何かしていないと落ち着かない。
「病み上がりなんだから、あまり動き回るんじゃないぞ。」
鉄馬はそれに答えずに出て行った。
鉄馬がテラスでボーッとしていると、さくらが声をかけてきた。
「兄さん・・・」
「・・・・・」
鉄馬は振り向かない。
「・・・あれが、理由だったんですか?あたしに正体を隠していた・・・」
さくらたちがハーデスに捕えられたとき、鉄馬が謎の光を当てられただけで意識不明に陥った。ハーデスが言うにはそれは改造人間分解光線だったそうだ。
即ち、鉄馬が改造人間だったということになる。
「兄さんが・・・改造人間だったなんて・・・どうして、そんなに・・・・」
ようやく、鉄馬はさくらの顔を見た。
「・・・・黒木弥生を、覚えているか?」
「ええ・・・覚えてます。」
黒木弥生とは、幼い頃に鉄馬といつも一緒にいた女の子のことだ。さくらも一緒に遊んだこともあれば、剣の修行をしたこともある。
「俺を改造したのは・・・弥生だ。」
「ええっ!?」
驚くのも無理は無かった。鉄馬は弥生に好意を寄せていたし、弥生もまた鉄馬に好意を寄せていたのだ。その弥生が鉄馬を改造するとは考えられない。
「何かの間違いじゃないんですか?弥生さんが、兄さんを改造するなんて・・・考えられません。」
「そう・・・俺だって信じたくない。だが事実だ。あいつは黒乃巣会とつるんで、俺に改造手術をしやがった。」
さくらには何も言うことが出来ない。信じていた人に裏切られることがどれだけ救い難いことか。
「見ろ。」
袖を捲り上げ、左腕を見せた。
肩から肘の辺りまで機械が剥き出しになっている。
「腕だけじゃない。左上半身、左の肺、左眼、両足の筋肉、さらには脳の一部まで、機械にされちまった。温もりも無く、血も流れない。斬られてもそこだけは痛くない。左手で物に触れても何も感じない。人間でありながら・・・俺は人間でなくなった・・・」
鉄馬は怒りに震えている。自分をこんな体にしてしまった弥生を憎む気持ちで一杯なのだ。
「・・・・・」
さくらは何も言わず、鉄馬の胸に耳を当てた。
「・・・聞こえます。兄さんの心臓の音が・・・例え、改造人間でも、何であっても、兄さんは兄さんです。あなたはあたしの兄、真宮寺鉄馬です。」
「さくら・・・・」
鉄馬の顔に涙が伝っている。さくらが初めて見た、鉄馬の涙であった・・・・
2月に入って間もなく、花組出演の映画『少年レッド番外編・バトルライダー』が帝劇で関係者に特別公開された。
「はあぁ・・・」
始まって10分ぐらいしか経っていないというのに、すみれが18回目のため息をついた。
悪の手下その一をやらされたため、まったく見る気がないのだ。
「うるせぇな。黙って見ろよ。悪の手下その一。」
「お黙りなさい!あなたみたいな野蛮な役を演じるよりはマシですわ!」
喧嘩が始まりそうだったが、アイリスが割り込んできた。
「シーッ!大きな声だしちゃ聞こえないよ。」
この作品は、『新撰組』の公演と同じく、鉄馬のアクションシーンが大きな目玉となっていた。
体力と丈夫さに絶対の自信を持っていた鉄馬はスタントマンを断り、危険なアクションを全て自分でやりとおした。
お陰でその分の経費は削減されたし、喧嘩慣れしている鉄馬は本気で動いていたので撮影も1テイクで済まされ、かなり撮影期間も縮まった。
「あっ、止めの一撃が出まーす。」
怪人を倒す必殺技。『バトルライダーキック』の初登場シーンである。
『行くぞ!トオォッ!!バトルライダーキィック!!』
ドガアアアァァァッ!!
子供が喜びそうな迫力あるシーンである。
「うわあ・・・こうやって見ると凄いシーンですね。」
「そうやろ、何しろ本当にやったんやから。」
「そうね、副長の運動能力の高さがよくわかるわね。」
格闘なども一切手は抜かずに実際に殴り合って、まるで香港映画なみの迫力あるシーンとなった。
当然、『バトルライダーキック』の時は怪人役は膨らました人形に鉄馬が空中から蹴飛ばしただけだが、人形を使ったのはそのシーンだけだった。
「しかし・・・あれだけ殴り合ってたのに入院した人はいなかったっていうんだから、不思議だよな。」
大神が言うように、ケガをした者はいたが、入院したものはいなかった。
「ま、ひとえに俺の巧みな力加減の賜物だな。」
鉄馬が得意満面の表情で言う。
しばらくして、清志が隣に座っている琴音がボーっとしているのに気付いた。
「おい。」
声をかけるが全く反応が無い。
映画に見とれているのかと思ったが、そうでもない。
視線が全く変わらず、大迫力のシーンを見ても全く反応が無い。
「・・・・おい、琴音。」
頭を軽くつつくとようやく我に返った。
「は、はい、何でしょう?」
「『何でしょう』じゃなか。なんボケーッとしとるとか?」
「え?・・・今ボケーッとしてましたか?」
「誰が見てもそう思うぞ。」
清志は琴音の真似をしてみせた。
「こげな似合わん顔ばして、なんかあったとか?」
「いえ・・・別に・・・」
平静を装ってはいたが、明らかに何か悩んでいるような表情をしている。
試写会が終わっても、琴音はまったく元気が出なかった。
稽古にも熱が入らず、夕食もろくに取らずに自室に戻っていってしまった。
当然、大神もそれに気付き、その日の見回りのついでに琴音の部屋に寄ってみた。
ドアをノックしてみたが返事は無い。
「・・・琴音くん、居るかい?」
少し間を置いて・・・
「・・・・大神隊長ですか?」
「ああ。少し、話があるんだ。ここを開けてもらえないかい?」
「・・・・申し訳ありません。私の両親にある時刻を過ぎたら殿方を自室にお入れしてはいけないと、きつく言われておりますので、明日こちらから伺います。」
「・・・・・わかった。悪かったね、じゃあ、お休み。」
「はい・・・お休みなさいませ。」
ドア越しとは言え、琴音の声は小さく、元気が無かった。
大神が中庭のドアの戸締りを確認しようとした時、ドアの向こうから剣が空を斬る音が聞こえてきた。
(誰だ?こんな夜中に・・・)
ドアを開けてみると、そこにいたのは木刀を振る少女。
「さくらくん・・・・」
「え? あ、大神さん。」
素振りをやめ、木刀を下ろした。
「ダメじゃないか、まだ力が十分に戻っていないのにそんな激しい運動をしちゃ。」
放出した霊力の回復がまだ完全でなく、戦闘からは外されていた。
「え?・・・まだ始めたばかりですよ?」
「嘘だろ?そんなに汗かいて。」
1時間以上運動していたかのように大量に汗が流れている。
「え?・・・そんな・・・」
自分でも気付いていなかったのか、さくらにはごまかしているという感じがなかった。
「やっぱり、まだ運動は無理なんだよ。今はゆっくり休まないと、ずっと治らないよ。」
「はい・・・・わかりました。」
「きっとすぐに治るよ、少しの間休んでいれば。」
「そうですね。じゃあ、そうします。」
さくらはベンチに腰を下ろした。タオルで汗を拭き取っても後から後からにじみ出てくる。
「なあ、本当に大丈夫なのかい?」
「ええ・・・特に苦しくないですし・・・」
息切れはしているが特に異常は見られない。
「そうだ、大神さん。琴音ちゃんは話をしてくれましたか?」
「いや。何でも、ある時刻を過ぎたら男と2人きりになっちゃいけないって親にきつく言い聞かされてるみたいでね。明日にすることになったよ。」
「あの・・・清志さんから聞いたんですけど・・・。琴音ちゃん、何かこの帝撃に入るのを、ものすごく嫌がってたそうなんです。」
「何だって!?」
「詳しい話は聞かなかったんですけど、そうらしいですよ。」
「そうだったのか・・・よし、明日その辺も話してみよう。」
翌日、約束通り、朝一で琴音は大神の部屋を訪ねてきた。
やはり元気が無い。
「早速だけど、2、3聞きたいことがあるんだ。君はここしばらくずっと元気が無いね。稽古中にも台詞を忘れちゃったりしたらしいけど、何かあったのかい?」
「・・・いえ、特に何も・・・」
そういうような表情にはとても見えない。
「・・・・・もしかして、帝撃に来たことを悔いているのかい?」
「え?」
「さくらくんが清志から聞いたそうだ。君が帝撃に入りたがってなかったって。」
琴音はより暗い顔になった。
「・・・・大神隊長。・・・隊長は、昔の夢を見ますか?」
「・・・ああ、見るよ。士官学校のときや、子供の時の夢を。」
「・・・・私は、最近ある事件の夢を頻繁に見るんです。」
「ある事件?」
「ええ・・・『星龍の大乱』と呼ばれている事件です。」
「星龍の大乱!?」
その言葉を聞いて驚いた。帝撃幹部で、その事件を知らない者はいない。
太正12年。帝都で黒乃巣会が活動を始めた頃。
まだ十分な戦力の整っていない花組を早い内に消しておこうと考えた黒乃巣会は、帝撃と繋がっていた星野鉄鋼の星野淳治と内通し、帝撃の動きを探ろうとした。
しかし、月組が偶然傍受した無線から彼の内通が発覚し、彼の弟である星野隆率いる一派が彼とその一派を皆殺しにした事件のことである。(『星龍の大乱』参照)
「わたしはその時、隆様や清志様と共に、淳治様の屋敷に突入しました。そしてそこで、私は30人近くの人を・・・殺めてしまいました。」
「・・・・・」
「二刃乃槍で・・・突き刺したりして・・・今でもあの人たちの顔が見えたり・・・声が聞こえたりします・・・それから神に祈らない日はありませんでした。ずっと、恐れてきました。いつか自分がその罪の罰を受けると・・・耐えられない罰を・・・」
小さな体に秘められた重くつらい過去。誰も癒すことの出来ない傷・・・・
「・・・・だから、帝撃に入るのを拒んでいたのかい?」
「ええ・・・戦場に出れば、私はきっと・・・」
「・・・・。なあ、琴音くん。今の花組に居る誰もが、君と同じように死を恐れてきた。それは仕方ない。避けて通れない道だ。でも要は、それを乗り切ることだ。」
琴音は黙って聞いている。
「みんな死は怖い。だからって逃げちゃダメだよ。俺たちには、帝都の人々を守る力があるんだ。俺たちは選ばれた者なんだ。例え、この先に死が待っていたとしても、俺は戦う。それは逃げたくないからだ。悪を許さないからだ。君がどうしても戦いたくないと言うなら止めはしない。残るも去るも君の自由だ。」
「・・・・・・」
「俺の言いたいことはそれだけだ。」
しばらく黙っていたが
「・・・・失礼します・・・・」
小さな声でそう言い、出て行った。
(あとは・・・自分で立ち上がれるかどうかだな。)
夕方、花組が夕食をとっていた。鉄馬は特別任務で不在。琴音は相変わらず出てこなかった。
「今日も琴音のやつはこないのかよ。」
カンナが不機嫌そうに言う。
「まあ、あの子はお上品な方ですから、あなたみたいな野蛮な方と食事をなさるのが、お嫌いなんでしょうね。」
「何だとぉっ!このサボテン女!!」
カンナが拳を振り上げようとしたが・・・
「2人ともいい加減にしなさい!!」
マリアの一声で2人とも黙ってしまった。
しばし一同沈黙する。
「あの・・・大神さん。琴音ちゃんとは、話をしてみましたか?」
さくらが小声で話し掛けてきた。
「ああ・・・したよ。」
「それで、あの話は本当だったんですか?」
「・・・・ああ、詳しいことを言うわけにはいかないけど、確かに琴音くんは華撃團に入ることを嫌がってたみたいだ。」
まさか星龍の大乱のことを言うわけにはいかない。星龍の大乱は政府によって闇に葬られている。帝撃副長以上でなければ知らない事件なのだ。
「何の話をしてますん?」
紅蘭が覗き込むように顔を近づけてくる。
「い、いや、その・・・何でもないよ。」
「ホンマかいな?・・・なんや大神はん、今日琴音はんと会うてたみたいやけど?」
「それはね、琴音くんが元気ないからちょっと話をしてみただけだよ。あまり話してくれなかったけどね。」
ようやく顔を引っ込めた。
「ふ〜ん、ウチはまた琴音はんが帝撃に入るのを嫌がっとったいう噂を確かめとんのかと思うたわ。」
「何で、知ってる!?」
とっさにそう言ってしまった。
「やっぱりそうなんやな!」
大神は「やってしまった」という顔になった。紅蘭がカマをかけたことにようやく気付いたのだ。
「もうその辺にしとけ。」
そう言ったのは清志だった。
「琴音が嫌がっとったとしても、今のあいつは帝撃に入っとる。あいつもそれなりの覚悟をしてきたつもりやったっタイ。」
清志は大神を真っ直ぐに見ている。
「ばってん、あいつは昔から争いが嫌いやった。今の戦いは、あいつには重すぎた・・・ばってんあいつは、決して自分の仕事からは逃げんやつタイ。あの小さな体で、一生懸命に戦ってる!みんなあいつを信じてやってくれ。」
その目には涙が光っている。
「あいつの過去は、誰にも癒すことのできん過去タイ。どうか、あいつには昔のことは聞かんでくれ。」
まるで保護者のように話す。
ビィーーーッ!ビィーーーッ!
警報が鳴り響いた。
帝撃前に敵が出現。すぐさま防衛線を展開。
敵の侵入を阻んで時間を稼いでいると、花組が出撃してきた。
「帝國華撃團・花組、参上!!」
琴音と鉄馬を欠いて10人の出撃であった。
「現れたな、華撃團!!」
時雨の声が響いた。魔操機兵の肩に乗って華撃團を見下ろしている。
「くくく・・・本当に女だらけの部隊だな。あの空飛ぶ野郎はいねぇのか。結構だな。」
「黙れ!帝都に仇なす者、覚悟しろ!!」
時雨は手を天にかざした。
「来たれ、降魔!!」
地中から次々と降魔が出てくる。
「くっ、囲まれたか。みんな散るな!まとまって行動しろ!」
『了解!!』
降魔が一斉に襲い掛かってくる。
大神たちが迎撃しようとしたその時。降魔の一群が大爆発して消滅した。
振り向くとそこに居たのは槍を構えた茶色の神龍。琴音機だ。
「琴音くん!?」
「琴音ちゃん!!」
通信機の画面に琴音の顔が映る。
しかし、その顔は普段の大人しい琴音の顔とは全く違い、鬼のような形相の琴音だった。
「な・・・琴音くん?」
大神はその顔を見て言葉を失った。
『大神隊長。こいつらを、叩きのめしましょう!!』
言葉使いまで全く違う。
「どうなってんだ?」
清志が通信に割り込んできた。
『キレたとよ。一度キレると全滅するまで敵を攻撃する。痛みも恐怖も何も感じずに・・・』
考えてみれば、琴音が星龍の大乱の時に30人近くの人を殺めたというのにもちょっと疑問があった。
恐らくその時も同じ状態になっていたのかもしれない。そう大神は思った。
『行くぞ!ハアアアァァァァァッ!!』
とは言え、とても同じ人間とは思えないほどギャップが激しい。
(しかし・・・あんな琴音くんは見たくないな。)
なりふり構わず敵陣に突っ込んでいく。
「行くぞ、みんな!琴音くんの援護だ!!」
『了解!!』
花組も突撃を開始。時雨に向って一直線に進んでいく。
「ククク・・・かかった。」
怪しげな笑みを浮かべる時雨。
ついに降魔を撃退。敵は時雨一人となった。
「追い詰めた!残っているのはお前一人だ!!」
しかし時雨は笑ったままだ。
「追い詰めただと?この程度で貴様ら、この俺を追い詰めたつもりか?ふっ!笑わせるな!!」
「強がりもそこまでですわ!あなたに勝ち目は無くてよ!」
「強がりではない。貴様らは既に、ワナの真っ只中だ!!」
周りから新手の降魔が出現。さらに鹿と蝶も現れた。
「はっ!大神一郎!!貴様らの悪運もこれまでだ!!」
「この大軍団にどうやって戦うつもりかねぇ?」
その数はゆうに100を越えている。
さらに、幹部3人を相手にしなければならない。
『くそ!どうするよ、隊長!!』
「諦めるな!俺たちが諦めるわけにはいかないんだ!!」
とは言え、状況は最悪といえる。
「ククク・・・かかれぇっ!!」
時雨が突撃の合図を下したその瞬間・・・
ヒュゥゥゥゥゥゥ・・・ドゴオオオオオオオオォォォォォォッ!!
突如、爆弾が上空から投下され、降魔の一群が消滅した。
「な、何だ!?」
大神たちも時雨もわけがわからずに上を見た。
何と、6機の蒼い戦闘機が飛び交っているではないか。
『よう、大神。待たせたな。』
通信機に映った顔は鉄馬だった。
「鉄馬!?どうしてここに!?」
『俺たちはその鹿と蝶を追っていた。するとそこにお前達がいた。それだけのことだ。その雑魚どもは、俺が引き受けた。』
龍組の戦闘機体が上空から降魔を攻撃していく。
「おのれ、龍組め。貴様ら、なぜやつらにつけられていることに気付かなかった!!俺は帰る。あとは貴様らで何とかしろ。」
煙幕を張って逃走。鹿と蝶はその場に残った。
「くそ!こうなったら貴様らと一緒に自爆してやる!!」
鹿と蝶が突撃してくる。
「行くぞ!!」
合図と共に花組が散開。まず琴音が槍を構えて踊りかかった。
「黒田晴嵐流・弐槍天舞!!」
槍を二つにわけ、鹿と蝶にそれぞれ突き刺す。
「行くぜ!放て!!」
「ほいっ!!」
「ハアァァッ!!」
清志、紅蘭、マリアの3機が銃砲を撃ち込む。
「えーいっ!!」
「ハッ!!」
アイリス、織姫の霊力攻撃。
「ヤァッ!!」
「それっ!!」
「チェストォッ!!」
「やあぁぁぁっ!!」
レニ、すみれ、カンナ、さくらの攻撃。
「狼虎滅却・天地一矢!!」
2人は自爆する前に攻撃を受け、ビルの中に吹っ飛ばされた。
「おのれぇぇぇぇぇっ!!」
ドゴオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォッ!!
大爆発を起こし、ビルが崩れ落ちた。
戦闘終了後、作戦指令室に大神とさくらの2人が呼び出された。
「大神一郎、真宮寺さくら、参りました!」
敬礼して入ってくる2人。
そこに居たのは米田とかえでの2人だった。
「ご苦労だった。この帝撃をよくぞ守り抜いてくれた!」
「はっ、ありがとうございます!しかし、敵を撃退できたのは、龍組のお陰でして・・・」
「ははは・・・謙遜するこたねぇ。」
「今日はね、大神君とさくらに会わせたい人が居るの。」
「会わせたい人?」
こんな所で会うのだから、帝撃関係者と考えてまず間違いない。
「おう、入ってきな!」
ドアが開き、7人の人物が入ってきた。
「なっ!?あなた方は!?」
「そんな・・・まさか・・・」
大神もさくらも目を疑った。
そこにいたのは鉄馬、星野隆、真田俊樹、松平元忠。その4人には大して驚かなかったが、2人が一番驚いたのは、真宮寺一馬、山崎真之介、藤枝あやめの3人がそこに居たことだ。
「あなた方は・・・亡くなられたはず・・・」
「お、お父様・・・これは一体・・・」
2人はほぼ同時に3人の足があるかどうかを確認した。しっかりと付いている。
「ははは・・・残念だが、幽霊ではない。」
一馬がニコニコしながらさくらに近づいてくる。
「さくら、立派になったな。」
優しくさくらを包む一馬。その感触は、まさに一馬そのものだった。
「お・・・お父様ぁっ!!」
さくらは一馬に泣きついた。
「さくら・・・」
一馬もまた、うっすらと涙を浮かべている。
大神は山崎に警戒しながら近づく。
「何やってる、大神?」
鉄馬が笑いながら問い掛けてきた。
「何って、山崎真之介は葵叉丹だろ!」
「・・・・。ハハハハ・・・・!!」
鉄馬たちは笑い出した。大神は何が何だかわからない。
「大神よ、お前さくらが妖魔城で誰を倒したか知ってるか?」
「それは・・・確かサタンを・・・」
「そうだろ?山崎少佐が悪に染まったのはサタンが少佐の体内に居たからだ。だが今、そのサタンはさくらの手で倒された。」
「じゃあ・・・・」
「そうだ、今の山崎少佐は正義感に燃えていた頃の少佐だ!」
とは言え、なかなか信用できない。
「信用できないのは仕方ない。今まで俺がどれだけ悪事を働いたか。それを考えれば当然だ。これからの俺の行動で、味方ということを証明して見せよう。」
「・・・・・」
取り合えず信じてみよう・・大神はそう思った。
しかし、一つ大事なことを忘れている。何故、死んだはずの3人がここに居るのか。
「あの・・・どうして・・・」
大神が質問する前に、あやめが口を開いた。
「わかってるわ。どうして私たちがここにいるか。それを聞きたくてうずうずしてるのね?」
「え、ええ。」
「鉄馬君のお陰なのよ。」
あやめの話に寄れば、鉄馬の反魂の術によって3人は蘇ったのだという。鉄馬はあらゆる術の研究をしており、反魂の術も当然会得していた。
そして一馬と山崎は龍組副長と帝撃技師長兼花やしき工場責任者、あやめは副指令に任命された。
何にせよ、これで帝撃にこの上ない最高の助っ人が来てくれたことは間違いなかった
To be continued・・・
キャスト
大神一郎
陶 山 章 央
黒田琴音
久 川 綾
真宮寺さくら 神崎すみれ
横 山 智 佐 富 沢 美智恵
マリア=タチバナ アイリス
高 乃 麗 西 原 久美子
李紅蘭 桐嶋カンナ
渕 崎 ゆり子 田 中 真 弓
ソレッタ=織姫 レニ=ミルヒシュトラーセ
岡 本 麻 弥 伊 倉 一 恵
藤枝あやめ
藤枝かえで(二役)
折 笠 愛
時雨
中 村 大 樹
鹿 蝶
辻 親 八 石 田 彰
真宮寺鉄馬 真宮寺一馬
堀 秀 行 野 沢 那 智
星野隆 山崎真之介
古 谷 徹 家 中 宏
真田俊樹 松平元忠
小 林 清 志 納 谷 六 郎
米田一基
池 田 勝
佐伯清志
鈴 置 洋 孝
次回予告
神話の時代からの戦いも |