Act1-3

 ミロクは満足そうな笑みを浮かべる。
「さあ、大神一郎! あなたから血祭りにしてあげるわ!」
 取り囲む降魔達がジリジリと間合いをつめてくる。
 大神は立ち上がり、剣を握りなおす。
 だが、戦力差がありすぎる。
(これまでか……)
 だが、ただでは死なない。一匹でも多くの降魔を道連れにしてやる。
 そう、覚悟を決めた時だった。
「破邪剣征・百花繚乱!」
 突然の炎が降魔を一掃する。
「この技は!」
 炎が出た方向を振り替える大神の目に写ったのは懐かしい姿。
「帝國華撃團、参上!」
 『扶桑』の甲板に『神武』の勇姿がある。
「大神さん。大丈夫ですか!」
「さくらくん!?」
「大神少尉……じゃなかった中尉! 中尉の神武ももってきてるぜ。はやく乗り込んでくれ」
「カンナ!」
「さあ、はやく」
「わかった!」
 純白の神武。
 あの帝都大戦以来、久々に乗る愛機だが、違和感はない。
「中尉!」
「マリアか!」
 大神が転属になった後、帝撃の隊長代理となり、指揮をとっていたのはマリアである。
「指揮権を返上します。帝撃の隊長は、あなたをおいて他にはいません」
「……わかった。大神海軍中尉、これより帝國華撃團の指揮をとる!」
「お兄ちゃん! しっかりやってよ!」
「まかせとけ、アイリス」
 あらためて降魔達に相対する。
「マリアは現地点を確保! 蒸気速射砲で後方から支援してくれ」
「了解!」
「カンナは左翼から主砲を盾にして降魔を掃討! アイリスはカンナを援護しろ」
「おうよ!」
「アイリス、頑張るよ!」
「さくらくんは俺と一緒に中央にいくぞ!」
「はい!」
 大神の命令一下、帝撃は瞬く間に降魔を打ち倒していく。
「くそぉ。なんたることだ」
 ミロクは思いもかけぬ神武の登場に明らかに動揺していた。何ら手をうてないでいる。
「パールクヴィチノイ!」
「破邪剣征・百花繚乱!」
「狼虎滅却・無双天威!」
「イリス・シャルダン!」
「四方攻相君!」
 各人の必殺技が飛び交う。
 今まで出撃がなくてたまっていたものを一気に掃き出すような暴れっぷりだ。
「よし、さくらくん。仕上げだ!」
「はい!」
 大神とさくらの神武が手をとりあう。
「瞳に写る輝く星は」
「みんなの明日を導く光」
「今、その光を大いなる力に変えて」
「破邪剣征・桜花乱舞!」
 二人の声が響くと同時に、桜の花びらが舞い散る。
 そして、降魔は一掃された。
「くそ……覚えておれ!」
 それを見たミロクは捨て台詞を残して姿を消した。
 『扶桑』から脅威は取り除かれたのである。
「それじゃいくわよ!」
 さくらが音頭をとる。
「勝利のポーズ………決めっ!」

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